第39章 お宅ほうもん。
『お邪魔しました。』
「今度うちで一緒にお料理しましょうね?ミユ。」
「今度、お買い物行きましょう♡」
「気をつけて帰るんだよ?」
玄関前、みんなでお見送りしてくれた灰羽家。
『次来る時はまた何か作ってきますね?』
そう言って会釈をし、リエーフと駅までの道を手を繋いで歩く。
「どうでした?ウチの家族。」
『んとねー…
あったかかった。』
にこり、
ほほえめば、リエーフも一緒に微笑んだ。
『また、お邪魔したいなぁ。』
「また今度、ですね?」
『だね?ねえ、リエーフ。』
「なんですか?」
『家族…って、いいね?』
「でしょ?」
人通りが少ないからか、ヒールの音が響く。
「美優さん?」
『なに?』
「俺、美優さんとあんな家族になりたい…って言ったら迷惑…ですか…?」
握られていた手は先ほどよりも強く握られている。
パッと顔を見れば夕日と同じくらいリエーフの顔は真っ赤で…
家族になりたい…って…
意味を理解すれば、私の顔も赤くなる。
『それって…』
「そういう意味…です。」
ちょっとこっちと腕を引かれ連れて行かれたのは小さな公園。
滑り台の階段に座らされ目の前にはリエーフ。
「もうちょっとちゃんとした時にいいたかったんですけど…」
『うん。』
両方の手をきゅっと握られる。
「まだ、俺、16歳で結婚…できる年齢じゃないですけど…
これからもずっと…美優さんと一緒にいたいです。
俺が高校卒業するまで…待っててもらえますか?」
真剣な顔。
こくんっ、と唾液を飲み込むと私は話をし始めた。
『私、まだ言ってなかったんだけどね…専門学校、合格したの。
来年から2年、料理の専門学校に通うの。
卒業するのはリエーフと一緒。
そうしたら私、家、出る。
1人で…ううん…
2人で….一緒に暮らそう?』
遠回しだけれど…伝わったかな?私の気持ち。
「はい!」
返事と一緒に私が見たのは、リエーフの太陽みたいな笑顔だった。