第4章 過去のトラウマ
家の鍵を開け、部屋に進む。
鞄をそこらへんに放り投げ、ベッドに沈んだ。
告白の後もリエーフは私を家の前まで送ってくれた。
いつもと変わらないくらい明るくて優しいリエーフ。
好き…だと思う。
でも、私なんかでいいのか。
そんな言葉が私の中を渦巻き深みにはまっていく。
何かやらないと良くないことを考えてしまうからと2つのお弁当を持ち、自室から出た。
明かりがついていない静かで物寂しい廊下を歩く。
今日も両親は帰ってこない。
私の両親は医者と看護師。
2人とも有名な大学病院に勤めている。
仕事で忙しいを言い訳にして帰ってこない。
たまに帰ってきても自室にに直行するからここ最近ろくに会話もしていない。
小さい頃は家事や私のお世話をしてくれるお手伝いさんもいた。
けど、私が中学を卒業した年に断った。それから家ではずっと1人。
一通りの家事は中学校を卒業するまでにお手伝いさんに教えてもらってできるようになっていたから不自由はなかった。
そっちの方が気が楽。
でも、やっぱり1人は寂しい。
仕事が忙しい両親。でも知ってる。
両親どちらにも愛人がいること。
お互いがそれを黙認していること。
愛人の家に入り浸りこの家に帰ってこないこと。
全部、知ってる。
昔はそれなりに優しかったように思える。
忙しさで家に帰って来ないなりにも可愛がってもらっていたと思う。
でも、両親が私に無関心になったのは"あの時"だった。