第37章 ネコとヘビ〜ねこま、ピンチをチャンスに〜
階段を下り、廊下を走る。
「かっ…かっこよかったよ。今度教えてよ、バレー」
廊下の端からかわいい女の子の声が聞こえる。
選手と話してるのかな…?
そう思い通り過ぎようとすれば聞いたことのある声が返事をした。
女の子が走り去った後、そっと廊下の端を覗き見れば、相手と目があう。
やばっ…
気づかなかったふりをして立ち去ろうとすれば相手は立ち上がり私の肩を叩きに来た。
「ちょっと…」
『なんですか…?戸美の主将さん。』
「見てた…?」
『あれが噂のミカちゃんですか?』
そう、私が言えば、あー、と苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
「黒尾には言わないでくれない…?あいつにバレると色々面倒なんだよね…」
『別に、他人の色恋からかうつもりもないし。よかったですね?復縁できたようで。』
私いきますねと言えば向こうもチームに帰ろうと私と反対側の方へ足を向けた。
「あ。」
大将くんがポツリとつぶやき、その声に反応した私は大将くんの方を振り返った。
「あのでかい1年。アイツなんなの?初心者かと思えばいいプレーするし…」
にこり
私は笑って答えた。
『いいプレーヤーでしょ?私の彼氏。』