第3章 嘘だ、私は信じない。
答えなきゃいけないことも分かってる。でも考えがまとまらない。
決断しなくてもいいこの中途半端な気持ちに溺れていたい。
それでも…今伝えてくれた言葉にちゃんと向き合いたい。
『リエーフ、正直な気持ち…伝えてもいい?』
そう私が言うと、リエーフは小さく「はい」とつぶやいた。
ちゃんと気持ちに向き合うように、私も体をリエーフに向ける。
緊張、なのだと思う。ぎゅっと手を握ると不安そうにこちらを覗くリエーフの瞳をじっと見つめた。
『私、恋ってものをしたことがなくて、今の気持ちが恋なのか自信なくて…』
息が苦しい。きちんと伝わっているのだろうか。
でも、私よりも言葉を待つリエーフの方が苦しいから、握る手の力が強くなるのを感じながら再び唇を開く。
『リエーフのことは大好きだよ?だから、もう少しだけ待って欲しいの。ちゃんと、もっとちゃんとリエーフのこと考える。』
強く握る手に暖かな手が添えられた。
「じゃあもっとデートに誘ってもいいですか?」
『いいよ?』
「朝練の後とかお昼に美優さんに会いに行っていいですか?」
『うん。リエーフが来ないと私が寂しい。』
揺れる緑の瞳。
引き結ばれた唇が、開く。
「じゃあ…美優さんのことまだ好きでいいんですか?」
問われた言葉を飲み込むと私は一度頷いた。
ごめんね?
私弱虫でごめん。
卑怯で…ごめん。
でも自信がない。
リエーフの隣にいる自信がないの
格好良くて
人懐こくて
太陽のように笑うリエーフ
一緒にいると毎日楽しいしもっと一緒にいたいって思う
でも…
『リエーフ、唐揚げ食べないの?』
無言に耐えきれなくなり私は無理やり話を捻じ曲げ声を発する。できるだけ明るい声を出したつもりだけれど、もしかしたらうまく笑顔が作れていないかもしれない。それでもリエーフはいつもの笑顔で私を見つめてくれた。
「食べます!おにぎりもください!」
リエーフごめんなさい。
私は関わった人が自分の周りからいなくなるのが
人の気持ちが離れていくのが
怖い