第36章 ネコとヘビ〜春高代表決定戦2試合目〜
女子の試合が終わった。
勝ったチームは喜びに震え、負けたチームは涙を零す。
負けたチームが私達の横を通り過ぎていく。
負けて泣きたくない。
勝って泣きたい。
みんなのコートを見つめる目は真剣。
「行くぞ。」
私は最後の試合に向かうみんなの背中を見つめた。
私は走り、観客席に向かう。
観客席にはあかねちゃんとアリサさん。
険しい顔でコートを見つめる。
私も祈るように手を組み、みんなを見つめた。
主将同士の握手。
コートではクロと、梟谷の試合の前に会った大将くんが握手をしていた。
「そっか、なんか違和感あるって思ったらユニフォームがさっきと違うのね。」
そう。
いつもは血のような赤のユニフォーム。
だけど今回は、白地に黒のライン、赤の番号のユニフォーム。
『そうなんです。こっちのユニフォームなかなか出番ないんですけどね…』
そんな話をしているうちに、みんながコートに並ぶ。
「声だしてこー‼︎‼︎」
拡声器越しに声をはりあげるあかねちゃん。
その隣で出せる限りの声を出すアリサさん。
そして、音駒の応援に来てくださっている皆さんがあかねちゃんの声援に反応し、声ををあげた。
コートを見ればいつもより緊張した顔のリエーフ。
声をかけようとした時、コート内でやっくんが声をかけた。
やっくんがかけた言葉でリエーフの顔に笑顔が戻る。
ピーー!
春高最後の枠をかけた試合が始まった。