第35章 ねことふくろう〜代表決定戦1試合目〜
「「「あーっしたー‼︎‼︎」」」
試合終了。
音駒にはあとがなくなった。
落ち込む観客席を離れ、私は試合を終えたみんなのところへ向かった。
ーーーーーー
廊下の奥に赤いジャージの集団を見つける。
『みんなー!』
そう声をかければ反応するみんな。
みんなに近づくけど…
なんて言ったらいったらいいのかがわからない。
下を見て口を噤む私。
ぽん。
「わりーな。木兎強かったわ。」
わしゃわしゃ
クロはわたしの頭に手を置くと髪の毛を乱すように乱暴に頭を撫でた。
思わず顔を上げると微笑むクロ。
「次は勝つ。」
『うん。みんなで春高行こう?』
「ああ、必ず。」
そう言ってクロと笑いあうとクロの後ろから微妙な顔をしたけんまが出てくる。
「ねえ…アレ、なんとかして」
研磨が指差す方を見ればベンチに座りものすごく落ち込むリエーフの姿。
その周りで犬岡と芝山が必死に励ましている。
「さっきの試合、大してイイトコ無しだったからな。」
ジャージを取りに来たやっくんがリエーフを見ながらそう、クロに言う。
それを聞いたクロはリエーフの前に立った。
クロが前に立ったことに気づいたリエーフは、真剣な顔で話しはじめた。
「俺…
俺はもっとバシバシ点獲ってブロック決めて…」
ギュッと拳を握るリエーフ。
「観客席からワーキャー言われる男なんですっ!」
そういったリエーフは先ほど握った拳で膝を叩いた。
『リエーフ…』
「お前のそういう真っ直ぐ馬鹿っぽい感じ嫌いじゃないよ。」
私もクロも呆れたような顔でリエーフを見つめた。