第35章 ねことふくろう〜代表決定戦1試合目〜
タイムアウト中は両観客席から応援の声が響く。
声は聞こえないけどけんまが中心になり話を進めているみたい。
けんまが何かを言った時、気のせいかクロがニヤリ、と笑う。
音駒の「脳」が冷静に試合について考え、攻略しようとしている。
少しずつ、整ってきてる。
試合再開を知らせるホイッスルがなると、みんなはコートに戻っていった。
『みんなー!がんばれー!』
試合に向かうみんなは私の声に反応し、観客席を振り返る。
「おう!」
「美優さーん!」
「勝ってくるから待ってろ。」
みんなが私の方に向かって笑顔でガッツポーズを決めてからコートに戻る。
みんなの背中が格好良く見える。
みんななら、大丈夫。
そう思う心とは裏腹に私の手は痛い位ぐっと拳を握りしめていた。