第34章 春高代表決定戦、そのまえ。
『え?』
「だから、猫又監督呼んでるぞー。」
春高代表決定戦まで残り数日となったある日の放課後。
クロに言われて私は猫又監督の元に歩き出す。
『猫又監督、どうしました?』
私が監督の前に行くと猫又監督はいつも直井コーチが座る椅子をぽんぽんと叩く。
ぺこりと一礼し、隣に座ると監督はニコニコ笑いながら私にこう切り出した。
「嬢ちゃん、マネージャーとしてコートに入れるなら入りたいか?」
『それは…どういう…』
「そのままの意味…なんだがなぁ…
嬢ちゃんは3年だし、もしかしたら今大会が最後かもしれない。
試合のコートに入ってみたくないかい?」
ニヤリと笑う監督。
少しだけ考え、私は答えた。
『今回はお断りします。
なので「次」はコートに入れてください。』
次。
みんなは春高に行けるって信じてる。
だからこその「次」
みんなと一緒に戦うのは次でいい。
監督は口元に弧を描く。
「そうか。じゃああいつらには頑張ってもらわなきゃな。
特に、守りの音駒に新しい風を吹かせてくれそうな…アイツにもな?」
私もにこりと笑い、肯定の返事をした。