第32章 待てのあとにはご褒美を。
どんぶりに盛り付けた雑炊は綺麗に完食。満足したらしいリエーフはぎゅーっと私に抱きつく。
「お腹いっぱい!」
『満足した?』
苦笑しながら私は後ろのリエーフを見るとニコニコと笑顔で返事をする。
『今日は帰るの?』
明日は日曜日。大きな大会の次の日は大抵部活は休み。きっと泊まるつもりだろうが、聞いてみればやっぱり答えはイエスで、しょうがないなと呟きながら私はリエーフの腕から抜け出した。
「えー?なんでっすか?」
『お風呂の準備。早くしないと寝ちゃうもん。』
いっぱい汗、かいたし…
『洗濯もしちゃうから洗うもの出してね?』
「そういえば俺の着替えってありましたっけ?」
『この前置いてったジャージとTシャツあるよ?』
「やった!」
私は手早くお風呂を洗い、お湯を張る。そして、私の部屋にあるリエーフの洗濯物を持ち、リビングに戻ってきた。急いだけれども案の定間に合わず、リエーフはかくんかくんと船を漕いでいた。
『リエーフ?リエーフ?お風呂入っておいで?』
「ん…もう…寝る…」
『お風呂は…?』
「明日…」
リエーフは目をこすりながら私の部屋にふらふらと歩いていく。私の部屋のドアを開け、ベッドに横になるとすうすうと寝音を立て寝入ってしまった。
『大会、お疲れ様。』
そっと鼻の先に口づけるとリエーフは寝ぼけながらにこりと笑った。