第27章 音駒高校文化祭1日目!
朝、6時。私は学校の前にいた。
まっすぐ職員室に向かうと調理室の鍵を借り、調理室に向かう。
鍵を開けて入ると山になった材料が目に入った。
さて、やるか。
調理室にあるオーブンは10台。フル稼働したら準備する分のブラウニーは午前中で終わる。クッキーは午後。
マフィンとパウンドケーキは家で焼くにして、放課後はガトーショコラをみんなで作る。
スコーンは明日の朝焼けば完成。
事前に考えた計画を再びなぞると私は材料を混ぜ、ブラウニーを作り始めた。
材料を型に流し入れ、オーブンに入れひと段落。
「お疲れ様です。」
声がした方を振り返ると、いつの間にいたのかリエーフが黒板前の椅子に座っている。
『リエーフ?いつからいたの?』
「んーっと…美優さんがチョコとかし始めたころ?」
『結構前じゃない!声かけてくれればいいのに!』
そう言って近づくと、リエーフはにこりと笑う。
「美優さんの邪魔したくないっすもん。それに、集中してる美優さん見るの楽しかったし。」
リエーフは私の方に手を伸ばし、頬に触る。
「ん…固まってる。」
『何かついてる?』
「あ、チョコっす!美優さん、そのまんま…」
すると、リエーフはぐいと身を乗り出し私の頬についているらしいチョコをぺろりと舐める。
「甘…ん、取れてない…」
一度顔を確認したかと思ったらまたぺろぺろと頬を舐める。
『リエーフッ…くすぐったい…』
まるで子犬がミルクを舐めるような仕草。ちゅっと音を立てキスをしながら離れる。
「んまかったっす。」
太陽みたいにニカッと笑うから物足りないなんて言えなくて…
『朝ご飯作ってきたよ?お弁当出すね?』
無理やり話題を変え、スクールバッグからお弁当を取り出しリエーフに渡す。
『はい、どう…』
言葉を言い終わる前にリエーフの唇が私の唇を塞ぐ。
「美優さん、物足りなさそうだったから。」
『ずるい…』
年下なのに、私より余裕そうな顔。
余裕そうな顔を崩したくて、私はリエーフの緩んだネクタイをぐいと引っ張り、外したボタンの隙間から顔を差し入れちゅっと強く吸いついた。