第26章 文化祭、問題発生⁈
「しっつれいしまーす!1年生の皆さん準備、楽しんでますかー!」
突然の3年生の乱入にざわざわしだす1年3組。
「3年5組は執事、メイド喫茶を行います!手作りのスイーツを格好良い執事、可愛いメイドが皆様に届けてくれます。はい、メイド、執事カモン!」
委員長の声がけで廊下にスタンバイしていた私とクロが教室に入る。そのタイミングで女の子の黄色い声、そして、リエーフの絶叫。
「美優さん!何やってるんですか⁉︎」
「リエーフうるせーぞー。」
「灰羽くん静かにー。」
このやり取りを聞いた1年3組は大爆笑。なんで3年に名前知られてんだよーなんて周りの男子に弄られてる。
ああ、恥ずかしい…
「じゃあ決めゼリフ、どうぞ!」
委員長の掛け声で最初に決めていたセリフを先にクロが言う。
「お嬢様のご帰宅、心よりお待ち申しています。」
右手を左胸に当て、お辞儀する姿は本当に様になっている。私もスカートの裾を両手で掴みぺこりとお辞儀をする。
『ご主人様、ご帰宅、お待ちしていますね?』
にこりと笑うと男子からヒューヒューと冷やかしの声。うん…10クラス近くやってきたからこの雰囲気慣れたわ…ふうと隠れてため息をつくとガバッと何かに包まれ真っ暗になる。ふわりと香るフレグランスで、リエーフに抱きつかれてるのがわかった。
「みんな美優さんのこと見んなよ!」
『リエーフこっちのが恥ずかしい⁉︎離して!』
助けを求めようにも委員長もクロもニヤニヤしてるし…
「灰羽君の彼女も給仕しますのでよかったら来てくださいねー!では失礼します。」
『ちょっと私帰るからリエーフ!』
「いーやーでーすー!」
リエーフは私をぎゅっと抱きしめ離さない。流石にそろそろ教室に戻らなければ準備の時間がなくなってしまう。
最後の手段か…
『ガトーショコラ』
私が呟くとリエーフはぴくっと体を跳ねさせる。
『パウンドケーキにマフィン、クッキーにスコーンにブラウニー。食べさせないよ?』
それを聞いたリエーフは渋々私から離れる。
『今言ったお菓子、手作りで提供させていただきますので是非お越しください!失礼しました!』
私はそれだけ言うと急いで私はリエーフから逃げた。
恥ずかしかった…
急な宣伝が終われば準備であっという間に1日は過ぎ、とうとう文化祭がやってきたのだった。