第25章 音駒高校文化祭準備編!
そして放課後。
「えー!春高の予選来れないんすか⁈」
体育館中に響く声でリエーフが叫ぶ。
『リエーフ!声おっきい!』
その声を聞いたバレー部のメンバーがぞろぞろ集まってくる。
「美優、こねーの?」
『うん。専門学校の試験がっつりかぶっちゃって…』
「じゃあ…しょうがないね。」
「美優さんのお弁当…」
それを聞いたやっくんが呆れた目でリエーフを見る。
「リエーフ…本当お前って残念なやつだな…」
リエーフ以外がはぁとため息をついた。
「…練習始めるぞ…」
そうそう、春高っていうのは春の高校バレー。「全国高等学校バレーボール選手権大会」の別名で、インターハイと並ぶ大きな大会のこと。
1月…新春に全国大会が行われるから『春高』。
東京都は1次予選で勝ち上がった4校が、11月に開催される代表決定戦に出場。トップ3が東京体育館で行われる全国大会に出場できる。
これに出るためにクロ、やっくん、海くんは部を引退しないで頑張ってきた。
この3人がバレーしてる姿…もしかしたら最後かもしれないのに…
ふうとため息をつくと、上からチョップが降ってきた。
『いぎゃっ‼︎』
「美優チャン?なんか余計なこと考えてないか?」
痛む頭をさする私を見てにやりとクロが笑う。
「俺たちは負けねえ。絶対東京体育館に行く。お前にも俺たちが東京体育館で戦う姿ぜってー見せてやるよ。だからお前…美優は自分の進路、勝ち取ってこいよ。」
『クロ…』
頭をぽんぽんと撫でながらクロはにこりと笑う。
『そうだよね。クロたち強いもん。じゃあ、代表決定戦はお弁当作ってあげる!みんな食べれるようにおっきなやつ!』
そういうと、遠くからリエーフがストレッチをしながら「俺、おいなりさんがいいっすー」と叫ぶ。
するとみんな口々に食べたいものを叫びだし、体育館はすごい騒ぎになった。
『そのためにはみんな、ベスト4に入るために勝ち残んなきゃだよ!ってことで練習がんばってー!』
そう。大丈夫。
私は明るい声でそう叫んだ。