第25章 音駒高校文化祭準備編!
『失礼しまーす。』
部屋に入ると少しくたびれた様子の担任が机にもたれている。
『先生…お疲れのところ悪いんだけど、次私だからよろしく。』
「ああ…椎名なー。」
この人は担任の山岡正嗣(やまおかまさつぐ)。28歳独身。
堅苦しいことが苦手なこの先生はみんなからマサちゃんなんて呼ばれてる。まあ、お兄ちゃんみたいな先生。
そのマサちゃんは私を目の前の椅子に座らせ、持参したノートを見ながら私に話をしだした。
「椎名は行きたいところに余裕で行けるからなー。特に言うことねーわ。」
気だるげに呟く様はまるで日向ぼっこ中の猫。
「このまま成績キープで問題ねぇよ。」
『分かりました。』
「あ、お前また面倒なことになってんな。」
昨日のホームルームのことを言われ、それさえなけりゃあな、なんてため息をつかれる。
『あれは私悪くないんですけど。あっちがぐちぐち言ってくるのが悪い。結果、仕事奪ったけどやる気ないんだからいいでしょ?』
「そっちはまあ、俺がフォローしてやるよ。問題は…また仕事量増やしやがって。バレー部のマネージャーもやってるんだってな。」
マサちゃんはため息をつくと話を続ける。
「受験に1人調理部に、バレー部のマネージャー、そんで文化祭の調理にフロア…お前大丈夫なんか?」
『別に…何とかなりますよ。』
話が終わりそうだったので椅子から立ち上がると、おっきな手で私の頭を撫でる。
「まあ、ほどほどになー。あと、試験日決まったぞー。」
頭に乗っかった手を引き剥がしながら私はマサちゃんを睨む。
『それ…一番最初に言って欲しかった。センセイ?』
「悪い悪い。ほれ。」
マサちゃんは、詳細が載ったプリントを一枚、私に渡してきた。
『あ……』
プリントに目を通すと、私はあることに気づき、大きなため息をついた。