第25章 音駒高校文化祭準備編!
『だから無理だって!』
「えー。いーじゃないですかー。」
『明日学校あるじゃない!それにもう7時。遅くなったら親御さん心配するでしょう!』
ぷくりと頬を膨らませ怒ったような顔をするけど、今回は無理。
『明日のお弁当作らないからね。どうせ朝練なくても教室に来るんでしょう?』
「うっ…」
朝のお弁当を抜かれるのがそんなに嫌か、リエーフ。
『明日はリエーフの好きなものづくしにするから。』
「…わかりました……」
残念そうに帰り支度をするリエーフを待たせキッチンに走る。リエーフに見られないようにラッピングした型1つ分のパウンドケーキを持ち、リビングに戻った。
『これ、あげる。家族みんなで食べて?』
「いいんすか?」
『そのために余分に作ったんだもん。味の感想聞いてきて?』
リエーフはにこりと笑うとお礼を言い、カバンにパウンドケーキをいれ、帰り支度を済ませた。私も1度部屋に戻ると財布とカバンを持ち、玄関に向かうリエーフを追いかけた。
「あれ?美優さん。」
『途中まで一緒に行こう?この時間スーパー安いんだもん。』
「俺も買い物付き合いますよー!」
『リエーフは遅くなるから帰る!夜道危ないよ?』
「いや…俺より美優さんの方が危ないと思う。」
『はい、進むー!』
靴を履いたリエーフの背中を押しながら家を出ると私達はすっかり暗くなった街に向かって歩き出した。