第25章 音駒高校文化祭準備編!
『リエーフ、リエーフ?』
クッキー第1弾ができたので味見してもらおうとリエーフをキッチンから呼んだが返事なし。
あれ?寝ちゃった?
休憩がてら様子見に行ってみよう。
私は出来上がったばかりのクッキーと冷やしたアイスティーを持ち、リビングに向かった。
リビングの入り口から覗くとリエーフは寝てはいなかった。
その代わり、イヤホンで音楽を聴きながら勉強していた。思わずリビングの入り口でリエーフを覗き見る。
明日テストだもんなぁ。
ここまで集中してるリエーフ見るの初めてかも。
いつも分けている髪の毛をヘアバンドで上げている。
今日は部活がなかったから制服なんだけどいつも以上に緩めたネクタイ。首元のボタンは鎖骨が見えるくらいまで外されている。
日の光でキラキラと光る髪の毛。
シャーペンを持つ指。
真剣な瞳。
格好いいなーなんて見惚れていると私がいることに気づいたリエーフがイヤホンを耳から外した。
「美優さん来たんなら声かけてくれればいーのに。」
『あ…ごめん。』
私はリエーフが勉強している机に氷の溶けかかったアイスティーとクッキーを置く。
『はい。クッキー味見どうぞ?』
「やった!いただきます!」
リエーフはヘアバンドを外し参考書を閉じるといただきますと言いながらクッキーを一枚食べる。
「ん!うまいっすね。あれ?これ、甘さ控えめ?あといつもとなんか違う…」
『よく気づいたね?甘すぎるとしつこいかなって思ってお砂糖少なくしたの。あとはおから入れてヘルシーに。」
リエーフはにこりと笑い2枚目のクッキーに手をつける。
「こっちのがうまいっすよ?ヘルシーだと女の子も手つけやすいだろうし。甘さ控えめで男子も食べやすいし。」
リエーフは3枚目に手を伸ばした。
『よかったー。じゃあこの分量でお試し作っちゃおう!リエーフありがとうね?』
私がキッチンに戻ろうとするとリエーフが私を呼び止め手招きをする。ぱたぱたとスリッパを鳴らしながら近づくとリエーフはニコッと笑って唇に吸いついた。
「ん、充電完了。俺、勉強してても気にしないで声かけてくださいね?」
『わかった。」
リエーフの蕩けるような笑顔で私も充電完了。
私は作業を再開させるため、キッチンに歩を進めた。