第23章 まだまだ夏休みは終わらない!2日目‼︎
『私はどうして蛍さんと上野公園をお散歩してるのでしょう。』
「それは僕が望んだからでショ?」
そう。蛍のお願い。それは私と少しの時間2人きりになりたいというもの。
夕方だけどまだまだ明るい。そんな公園の道を手をつないで歩く。
「ねえ、美優さん。」
『何?蛍。』
「キスしていい?」
その言葉に私は蛍の顔を見た。逆光で顔が見えない。
『蛍…?』
「攻めるのは最後にしようかと思って。僕からのキスはこれで最後。これで安心デショ?」
蛍が言うように安心するはずなんだ。
彼氏以外から愛を囁かれるなんて
ましてやキスされたり体を触られるなんて
本当はダメなんだから、これで安心のはずなんだ。
でもどうしてだろう。
少し寂しいと感じてしまうのは。
『ねえ、蛍。これから先も今までみたいに先輩後輩としていてくれる?』
「まあ、それは…」
『また、今日みたいにみんなで遊んだりできる?』
「多分また木兎さんや黒尾さん達に誘われると思いますし。」
『蛍いないと…寂しい。』
私の口から溢れた本音は蛍の目を見開かせる。
「んなこと言われたらまた期待する…」
いつの間にか私は蛍の腕の中にいた。
「なんでっ…最後くらい、カッコ良く居させてよ…」
抱きしめる力が強くなる。
「あんた達の間に付け入る隙がないから…これ以上期待したくないから終わりって言ってるんだ。なんで期待持たせるようなことっ…」
蛍の悲痛な叫び。私は自分の身勝手な思いで蛍を傷つけてる。
『ごめん…蛍。ごめん。』
「好きですっ……だから…叶わないことが余計に辛い…」
『蛍…』
苦しい気持ちを代弁するかのようにさらにきつく、きつく抱き締められる。
『気持ちに応えられなくて…ごめんなさい。辛い想いばかりさせて…ごめんなさい。』
少しだけ力を込めて蛍の胸を押すとあっけなく蛍は腕を解き私を解放する。
『蛍、ありがとう。』
私もこれで最後。
思いっきり背伸びをして唇を触れ合わせる。
蛍との最後のキスはちょっとしょっぱい、涙味。