第19章 夜ってこんなに長かったっけ?
『ただいま…』
猫背ぎみに私の部屋に入るとリエーフはにこりと笑いながら私を見る。
「お帰りなさい!」
リエーフ気づいてないな…でもどこに落としたんだろう…
「美優さんの今日の下着、俺むっちゃ好みかも。」
突然の声に体の動きが止まる。ゆっくり、ゆっくりとリエーフの手元を見る。
今日の下着とお揃い。ピンクのシフォン素材、レースをふんだんに使ったクローゼットの中にある中で1番可愛いブラジャー。どこかに落としたはずのそれはリエーフの手の中に収まっていた。
『りえーふ…それ…』
「ドアの前に落ちてました!」
『私の…』
「ブラジャーですね?ふわふわで可愛いですね。」
『あ、ありがと…』
リエーフの手にのせられた私のブラジャー。それを見た瞬間、一気に感じる羞恥心。顔が沸騰するんじゃないかってくらい熱い。
『それ…ちょうだい?』
胸元に手を置いたままリエーフに手を伸ばすと、その手をぐいと引かれリエーフの胸にダイブする。
「もしかして…ノーブラですか?」
Tシャツ越しに触れる素肌の柔らかさに少しだけ慄くリエーフ。
『だってブラないし、さっきまでつけてたの洗濯回しちゃったし…』
言葉を言い終わる前にリエーフの唇が降ってくる。
目元、頬、鼻先そして、唇。ちゅっちゅっと吸い付くように唇を合わせる。少し離れたかと思ったらまた唇が触れ、ぺろりと唇を舐められる。少しだけ唇を開くとそっと舌が入り込んできた。
リエーフの舌が口内に入り込む。
逃げ腰な私の舌を絡め取る。いつの間にか右手はリエーフの指と絡まる。リエーフの右手は私の頬に添えられていた。
背筋がゾクゾクするような感覚。
リエーフが角度を変えるたびに漏れ出る自分の甘ったるい声。飲み込めない唾液。お昼に蛍とした時よりも正直…気持ちいい。
『りえ…ふぅ…』
名前を呼ぶと、舌を口から引き抜き名残惜しそうにちゅっちゅっと唇に吸い付き唇が離れた。
「美優さん本当に初めてっすか?チューだけでこんなに感じて…」
リエーフは私の嘴から流れ出た唾液を指ですくい取り赤い舌で舐め取る。
「美優さん。」
真剣な目で私を見つめるリエーフ。
「美優さんの初めて…ください。」
私はこくりと首を縦に振る。
心臓が馬鹿みたいに煩くて
でも、もう逃げられない。
そう、夜は始まったばかり。