第17章 夏合宿、最終日。
烏野メンバーが帰路につき、今度は私達だ。私達音駒もバスに荷物を積み、バスに乗り込もうとするとなぜかクロから呼ばれる。
『何よクロ。』
「いや、木兎達にメッセージアプリのアカウント教えていいか?」
『別に…いいけど……』
「グループ作って招待するからなー!」
「騒がしくすると木兎さん退会させますからね?」
「マジかっ!」
「美優さん、黒尾さんに教えてもらったらメッセージ送りますね。」
『おっけー、赤葦。待ってる。』
スマホ片手にみんなと話をしているとふいに腕を引かれる感覚。後ろから準備が終わったリエーフが声をかけてきた。
「美優さん!バス乗りましょう?」
『すぐに行くから先に乗ってて?リエーフ。』
「じゃあ待ってますよー!」
私を待つために引いていた手を離すと後ろから抱きつくリエーフ。
「…大変ですね……」
『いや、赤葦も大変でしょう?』
犬より大変な猛禽類飼ってるんだから…
「まぁ、そこは…慣れました。」
言いながら少し遠い目をする赤葦に同情する。
『愚痴なら聞くから…』
「はい…」
連絡先を交換し、お互いのバスに別れる。
やっぱり私は行きも帰りもリエーフの隣。
行きと違うのは、私の気持ち。
すきが好きになった。
ふわふわしてた気持ちが固まった。
バスが東京に戻るにしたがって、意識が遠のいていく。
「美優さん、肩、寄りかかって大丈夫ですよ。」
『ん…ありがと……リエーフ』
リエーフの肩に寄りかかりながら私の意識は深く、深く沈んでいった。