第13章 夏合宿4日目。
合宿もやっと折り返し地点。相変わらず外は暑い。
暑いくせにリエーフの食欲は相変わらずだ。
『よくそんなに食べれるね…』
「腹減るんすもん」
リエーフと、リエーフ隣の席に座っているしょーよー、あと、しょーよーの相棒の影山くんは丼に日本昔話並みの山盛りご飯を盛り、大量のおかずを口に運んでいる。
『これから動くんだよね…具合悪くならない?』
「ホント…ってか、それだけ食べても栄養が成長に回らないってどういうこと?」
この声は…後ろから聞こえた声に振り向くとそこには朝食を持ち席を探す蛍がいた。
『蛍おはよ。』
「おはようございます。昨日…大丈夫でした?あのあと…」
にやりと笑う蛍に敵意剥き出しのリエーフ。
「ひゅひひま!『リエーフ、口の中のもの飲み込んでからしゃべる。』
私に静止されたリエーフはおとなしく口の中のものを咀嚼している。改めて蛍に向き合うと、私は蛍に笑顔で話しかけた。
『おかげ様で…蛍が逃げたあと大変だったのよ。いろいろ…?』
「あれ?僕、いた方が良かったですか?お邪魔かなーって思って退散したんですが。」
『邪魔なんて思ってないくせに。楽しそうに帰っていったじゃない?』
「そんなことないですよ?先に帰ってしまったこと、後悔してますよ?」
他人が聞けば普通の会話かもしれないけど、2人とも含みのある笑顔なもんだからそこには不穏な空気が流れていて…
「なあ、お前ら何があったんだ…?」
横を通ったクロに心配される始末。
「何もないですよ?」
『世間話よ。世間話。』
「世間話の空気ではねえな…」
「そろそろ食べはじめないと時間がなくなるので…」
そう言い蛍は隣で心配そうに見つめていた山口くんとともに去っていく。私も試合前にやらなければいけない仕事を片付けるため、食事を急いだ。