第9章 追いかけっこ。
「で、なんで避けられてたんすか?」
リエーフが私の顔を覗き込むようにして問いかける。
そうだった。それをリエーフは聞いてたんだっけ。
説明するのも恥ずかしいが、しょうがないと口を開く。
『好きって自覚したらリエーフの顔見れなくなった…恥ずかしいっていうか、照れるっていうか…』
「確かに美優さん今も顔真っ赤ですもんね?」
『…うるさい』
「そんな顔で言われても怖くないです。」
きっとリエーフは笑ってるんだろうな。
表情なんて見なくてもわかる。
それでも表情が見たくて首を傾けるとリエーフが私の顔を覗き込む。
嬉しくて、嬉しくて、頬が緩み自然に言葉が溢れる。
『リエーフ…すき。』
「俺も好きっす。」
私達は見つめ合い、笑いあった。
ぐぅぅぅぅうぅぅう
このパターン何回目だろう。お腹を鳴らした張本人は、いつもの通り苦笑い。
「そういえば飯食べてなかったっす?」
『私から逃げてたもんね。じゃあ食堂閉まる前に行くよ?』
私は立ち上がるとリエーフに向かって手を伸ばす。リエーフは、私の手を握ると幸せそうににこり、と笑った。