第9章 追いかけっこ。
体調不良の原因は寝不足だってわかっていたから、練習の間無理やり寝ていたら元気になった。迷惑をかけてしまった監督とコーチに謝りに行って、丁度食事に来たけんまとご飯を食べた。
「美優…体調大丈夫?」
『うん。寝たらすっかり良くなった。』
「考えてたことの答えは出た?」
『けんま…?』
「美優が悩んでるのなんてバレバレ…リエーフのことでしょ?」
『…ん』
私はうどんをすする。ふとけんまを見ると、猫のような眼で私をジッと見ている。
「…ずるい。」
『けんま?』
「美優…前よりもっと可愛くなった。やっと自覚したの…?」
『もう…けんままで…』
「リエーフ…好きなんでしょ?」
問いかける言葉に優しさしかない。
けんまにここまで言われたら、はっきりさせないといけないよね。
『うん。私、リエーフがすき。』
す…とけんまが椅子から立ち上がる。
と、私のおでこにデコピンを叩き込んだ。
『いだぁぁぁぁあい!』
「美優いないとリエーフ調子でないし…まあ煩くなくていいけど…」
『確かに。本当、リエーフはうるさい。けんまありがとね?私、リエーフ探してくるよ。』
そういうと私は食べ終わった食器を片付けるため、立ち上がる。まだ食べ終わらないけんまに先に行くことを伝えると食器を片しに向かう。
おれも、美優、好きだったんだけどな。
そう呟いた声は私の耳には届かなかった。