【イケメン戦国】 色に出りけりわが恋は <R18>
第1章 ~恋心~
佐助「なおさん、お待たせ」
佐助が部屋へと入ってくる。
なおの後ろに座ると、そっと着物の肩を落とす。
佐助「少し、我慢して」
その肌に、指先でそっと触れる。
「いた・・・っ」
上から手拭いを当て、掌で押さえると、
佐助「これで冷やせば、少しはマシになると思うから」
反対側の肩も曝す。
日に焼けてしまったなおの肌は赤く熱を持ち、着物が擦れると少し痛む。
「はしゃぎすぎた・・・」
うな垂れるなおに、
佐助「目いっぱい楽しめたようで、よかった」
火照った背中に薬を塗りながら、佐助が笑う。
「佐助君は何ともないの?」
振り返ると、思った以上に佐助の顔が近くにあり、慌てて前に向き直った。
途端に、背中に触れる佐助の指に意識が集中してしまう。
佐助「なぜだろう。修行の成果かな」
なおの肩を、佐助の指が撫でる。その動きも、口振りも、動揺する様子はなく、
「さ、佐助君っ」
振り向かずに、名前を呼ぶ。
この状況で、緊張しているのは自分だけ?
こんなに、息が出来ないくらい胸がドキドキしているのに・・・
今日、二人だけで出かけたことは、佐助にとっては特別な意味はないのだろうか?
「あの、さ・・・ 今日、楽しかった?」
佐助「・・・うん。とても」
「そう、ならよかった」
意を決して、もう一度肩ごしに振り返る。
掌をきつく握りしめ、佐助の目を見つめる。
「あのね、私・・・」
言いかけたなおを、佐助が止めた。
佐助「なおさん、ごめん」
「え・・・」
それが一瞬か永遠かわからない程、佐助を見つめたまま固まるなお。
佐助「なおさん、俺・・・」
その声にはっと目を見開き、また顔を前に向ける。
「そ、そっか! わかった。 そうなんだ」
息が止まる程胸が詰まり、自分がどれだけ期待していたかを思い知らされる。
なんだか可笑しくて、俯いたまま笑ってしまった。
肩を冷やすために添えられていた佐助の手が、なおを後ろへ振り向かせる。
「あはは・・・ごめん」
なおの口元には笑みが、そして目には涙が浮かんでいた。