【イケメン戦国】 色に出りけりわが恋は <R18>
第3章 ~紅唇~
信玄「まさかお前からこんな文を貰うとは」
可笑しそうな表情で、信玄が懐から取り出す。
謙信「下の者の悩みとやらを聞くのが、主の務めだと」
信玄「お前なりにずっと気にしていたようだからな」
『佐助を少しの間足止めしてから書庫に向かえ。
扉が開いていたら、中にはなおがいるという印。
佐助と共に閉じ込めろ』
信玄「まるで子供の悪戯だな」
笑う信玄に、
謙信「子供のように単純な奴らだ。打って付けだろう」
謙信も微笑を浮かべる。
当然佐助の変化には気が付いていた。
俺を誤魔化せると思っていたのだろうか。
どう見てもあの男はなおに惚れている。
思いが通じたのは恐らくごく最近だろう。なおと佐助の間に流れる空気が明らかに変わった。
当人たちはいつもと同じ態度を装っていたが、白々しい演技に見ているこちらが疲れた。
ある日、気が付いた。
信玄も二人の仲を知っていると。
分かっていないのは、あの純朴な信玄の忠臣だけだろう。
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面白くない。
新たな楽しみを見つけたというのに、それがあの忍者男のものになろうとしている。
幸村「信玄様、聞いてますか?」
信玄「いや、聞いていなかった」
幸村「ったく・・・」
上の空の主にため息をつく。
幸村「だから、なおを誘って頻繁に茶屋へ行くのはお止め下さい。菓子ばっかり食うなって言ってんの」
信玄(どうしたものか・・・)
下心などまるでない顔だが、幸村はどう見てもなおを気に入っている。本人はその気持ちに気づいていないようではあるが。
なおとは何度も城下に出かけた。俺にとってそれは心休まる、温かな時間だった。
なおの笑顔が浮かび、つられて信玄の表情も緩む。
だが最近は・・・
信玄「最近は出かけていないよ。昨日も、誘ったら断られた」
なおといる時の佐助は全く忍んでおらず、感情がダダ漏れだ。なおもまた然り。
見ているこちらが恥ずかしい。
だが、そんな事は関係ない。
俺は俺で、今日もなおと過ごしたいのだ。
信玄「よし、今日も誘いに行こう」
幸村「人の話を聞けよ!」
部屋を後にする信玄を、幸村は必死に追いかけた。