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Fate/IF

第9章 Fate/Zero...? やがて、拠点となる廃屋で



「ねえ、龍之介。冬木市内で、人が何人か住めそうな廃屋とか、知らない?」
 私をここに運びこんで以来、養護施設に入り浸っている龍之介の膝に座らされながら、私はそう尋ねてみる。始終ご機嫌で私を抱きしめていた龍之介は、私の問いかけに、一瞬、呆けたようだったけれど、すぐに口を開いた。
「んー……なんか、昔は寮として使われてたっていう屋敷みたいな廃屋なら知ってるけど」
「寮、かあ……」
 それだったら、部屋数はありそうだし、拠点とするのには、悪くないかもしれない――
 そんなことを考えていたら、龍之介が、後ろから私の顔を覗きこんでくる。
「なになに? そろそろ、準備とか始めんの?」
「うん、まあ……でも、一度、下見に行かないことには、なんとも」
 私がそう返すと、龍之介はぱっと表情を輝かせた。
「あ、じゃあさ、今から行く? っていうか、行こうよ! 俺も、早く旦那に会いたいし!」
「え? でも、まだ準備するだけだから、キャスターの召喚はしないよ? それに、龍之介にも令呪は出てないし……」
「わーかってるって! ほら、そうと決まったら、早速、下見下見!」
「は? いや、龍之介、ちょ、まっ――うわっ!?」
 妙に楽しそうな龍之介によって、軽々と抱きかかえられる。そして、そのまま、私は拉致でもされるような格好で、かつて、寮として使われていたという廃屋へと強制連行されることとなった。
 ――それでも、施設で働いている人たちに、暗示をかけるだけの余裕はあったのだけれど。
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