第4章 最後の言葉
身体を、少しだけ離して、
ニノの顎を上向かせ、
そっと唇を落とした。
離れようとしたそれに、
追いかけて、深く口づけたのはニノの方...
そっと舌を差し込むと、
それに応えるように、彼の舌が絡み付き、
俺たちは、しばらくの間、
長い長い口づけを与えあった。
........これで、最後...
こんなに深くキスを交わすことは、
もう、ない....。
自然と涙が、頬を伝った。
「ありがとう...ニノ..」
ニノは柔らかく笑って、
「櫻井翔、大好き。」
と言った。
その後、ふたりで降る雨を眺めながら、他愛もないことを笑って話した。
肩を寄せ合い、ソファに深く座った俺たちは、
いつまでもいつまでも、
離れられないでいた。
与えられた温もりも優しさも、
共に過ごした時間も、空間も、
すべてが、今この瞬間から、
過去へと押しやられていく。
もう、2度と、
傷を舐め合うように夜を繋ぐこともない。
この先も、
彼の近くで、生きていく俺を、
応援して、見守ってくれるであろうニノの、華奢な肩を抱きながら、
長い長い夜の闇から、
抜け出したような、
不思議な気持ちになっていた。
『ありがとう
.....そして、
さようなら。』