第4章 最後の言葉
表面上は、穏やかに、
いつもと変わらないように見えた。
ニノとは、相変わらず。
うわべでは....。
その日は、地方でのコンサート。
会場入りする俺たちを、カメラが追う。
DVDが出るときに付ける特典映像とのこと。
バスの中でも、はしゃぐ俺たちを、撮影する。
隣の座席でくっつく俺とニノ...。
ニノが俺に凭れ掛かれば、
俺は馴れた感じでその身体を、抱き寄せる。
それをメンバーが笑って見ている。
ホールの長い廊下で、
俺が差し出した手を、
当たり前のように、ニノが繋ぐ。
カメラの前で、憚ることなく、
イチャイチャする俺たちの姿は、
ファンの娘たちには、
お決まりの『ファンサービス』に
映ったのかもしれない。
今日は、2回公演の予定。
1回目が終わり、
その合間。
俺がシャワーをしていると、
そこに彼がやってきた。
俺は目を瞑って頭を洗っていたので、
彼が入ってきたことに、
全く気づかなかったんだ。