第9章 My sweet honey
...風呂に行かなきゃ...
彼のこと、綺麗にしてあげないと...
そう思うんだけど、
心地よい疲労感と、
俺の耳元で息を整える智を、
このまま、もう少し感じていたくて。
俺は、動き出せずにいた。
「翔ちゃん...誘っちゃって、
ごめんね。」
急に、そんなことを言うから、
俺は思わず、彼を見た。
智は、顔を向こうに向けたまま、
ぼそりと言ったみたいだ。
「智、こっち向いて」
すると、上気したままの潤んだ目で、
俺を見て、
「翔ちゃん、
今日はそんなつもりなかったんでしょ?
...なのに、俺...」
そんなしおらしいこと言ってる割には、
智は、なんだか余裕の笑顔で...
...こいつ、分かってて、
わざと言ってるんだ...
智は、俺の下心を見抜いた上で、
敢て、言ってる...
......
「そういうこと言うと、
もうここには来ないよ?
智の邪魔は、絶対にしないから」
「翔ちゃん!なんで、そんなこと言うの?
...翔ちゃんってさ、
何気に意地悪だよね~」
「何言ってんの?そっちだろ~?」
......
くだらない痴話喧嘩も、
我に返ると、デレデレで、
恥ずいわ///