第9章 猫王子といじめ
赤司side
『はい注もーく!!!』
「…?」
大声を上げて注目の的となったのはだった。なぜか体操服ではなく、練習着を着ている。
『何故あたしが体操服を着てないかと言うと、体操服をボロボロにされたからであります!!』
男子生徒「はぁ!?冗談よせよ、」
『冗談じゃねぇよ。ぶっちゃけ今までカッター仕込まれたり画鋲仕掛けられたりしてんだよ。怪我だってしてんだよ』
奈央「ちょ、それ本当なん!?なんで言ってくれへんかったん!?」
『ごめん、奈央。心配とかかけたくなかったし、あたしの問題だから。とにかく、あたしのイライラは限界まで来てまーす。別にここにいる人の中に犯人がいるから今言ってるんじゃないから。ただ、これからいう事を他クラスの友達に伝えてください』
フゥっと息を吐いたと目があった。芯のある、強い眼差しだった。
『ガキみてーな幼稚くさい事してんじゃねーよ。あたしが気に入らないなら直接来い。逃げも隠れもせず相手になってやるよ』
隣の男子生徒が生唾を飲む音が聞こえた。それくらい凄みがあった。
『以上です!さぁさぁ!楽しい体育を始めましょー!!!』
はそれ以来、いつものに戻った。心配した女子に囲まれて大変そうだったが、いつもの笑顔を見せていた。
『あり?いつもより深い皺が眉間に寄ってますよ~。悩め悩め、少年よ!』
「…悔しくないのか?」
『はぁ?王子あれ聞いてあたしが悔しくないとか思ったわけ?あぁ、確かに悔しくはないかも。寧ろ笑えてくるね。このあたしをターゲットにしたんだもん。痛い眼みるのは犯人さんだよ』
それからは体育に戻って行った。普通女子ならいじめに合えばショックを受けるはずなのに。
「…僕が慰める必要もない、か」