第5章 猫王子とテスト
暫く泣けば、も落ち着いてきたようだ。
『泣いてしまった…よりによって赤司の前で泣いてしまった…』
「問題ない。僕は誰にも言ったりしないからな」
『そういう問題じゃねぇよ!!!そうじゃなくて…悔しいでしょ!!!』
「だが、泣いているは素直で可愛かったよ」
『痒い痒い痒いー!か、可愛いとか言うな!!!見て!鳥肌立ったんだけど!!!』
「ははっ。それより早く勉強しなくていいのかい?」
『はっ!!!そうだった!!!赤司お願い!!数学教えて!!!』
「そのつもりだったよ。今度は僕の部屋においで」
と元に戻った。僕の心臓はずっとうるさかったけど、今は何よりの隣にまた戻れたことの方が嬉しかった。
『王子?顔がにやけてるよ気持ち悪い。そんな顔してる暇があるならこの問題教えてよ』
「…気持ち悪いなら教えてもらいたくないだろう?」
『嘘です超絶イケメンで素敵な赤司様!教えてください!!!』
口を開けば憎たらしい事しか聞こえないけど、それでも僕はどうやらこの犬に惚れてしまったらしい。
「本来なら今は仕上げの段階なんだが、追いついてないのは仕方ない。今からビシビシいくぞ」
『はい!って…遅れたのは赤司のせいだろうがぁぁぁぁぁ!』
勉強指導は睡眠時間を0にして、朝まで行われた。
そして翌日。
奈央「おはよーさん!」
『お、おはよー…』
「おはよう」
奈央「その様子じゃ仲直りしたみたいやね!だけど何でそんなにはテンション低いん?」
『それはね…はっ!奈央!後ろから5が迫って来てる!!うわ、右からはXが…左はy!後方は9!!!もう終わりだ…人類は数字に支配される…』
「何バカな事言ってるんだ。そんな暇があったらもう1問解け」
『ウィッス』
その様子に川崎が笑う。そして僕に、良かったねと口パクしてくれる。僕は頷くと、へと視線を移した。