第5章 猫王子とテスト
ガラっと大きな音を立て図書室の扉を開ける。中に数人いてこちらを見てきたが、今は関係ない。目的の人物を探すと、図書館の奥にいた。
「…眠っているのか…」
音楽のイヤホンを耳に刺しながら腕を枕替わりにし、数学の教科書とノートを下敷きにして眠っている。閉じられた瞼に付いている睫毛は、長く綺麗だった。僕はの隣に座り勉強を始めた。
そして数時間後。下校時刻5分前を告げるチャイムが鳴った。
『…はれ?寝てたのか…寝てた!?え!?今何時!?』
「6時前だ」
『6時!?うわわわわわ!!!なんてこった!5時間も寝てしまった!!!!数学終わってないのに!!!』
「大丈夫だ、僕が教えよう」
『本当!?助かるよ王子!マジでやばいから!!!………』
「…?どうした?」
『…………』
「?」
はフリーズしてしまった。多分その原因は、僕がここにいること。
『…王子?』
「何だい?」
『王子…』
「あぁ」
『あ、かし…』
「…あぁ」
『赤司ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!』
は僕に抱き着いてきた。どうやら泣いているようだ。心拍数がとんでもないことになったが、今は気にするべき問題ではない。
『あっ…ひっく。赤司…ひっく…赤司ぃぃぃ!』
「すまなかった、」
『嫌われたかと…ひっく…思ったよぉぉぉぉぉお』
「嫌ってなどいない」
『うぇ~!!!やっと赤司が喋ってくれたぁぁぁぁ』
「…本当にすまなかった」
『ばか~バカ赤司~』
「…もう泣くな。不細工さに磨きがかかるぞ」
『ぶ、不細工だもん~!どうせ不細工だもん~!それがあたしを無視した理由?』
「…そうじゃない。僕自身の問題だったんだ。すまない」
これは僕の我が儘。僕の勝手でを傷付けた。