第5章 猫王子とテスト
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『…今なんて?』
先生「せやから先週から言ってたやろ?今日からテスト期間、ほんで今日から部活停止や」
『…まじで!?え、まじで!?部活出来ないの!?』
先生「何回も言わすなや。ほなHR終わるでー」
マジでか…まじでかぁぁぁぁ!そんなん分かってたら昨日もっと居残り練したのに…
奈央「ずっと言われてたやろ?いつも話聞いてない罰や。自業自得や」
『ぐすっ…酷いよ奈央たん。もっと慰めてよ奈央たん』
奈央「きもっ!そのたんっちゅーのやめぇや!鳥肌立ってもうたやないか!」
『えへへ~奈央たん~奈央たん~ふがっ!』
奈央「調子乗るな、ボケ」
奈央は通常通り。ていうか何か忘れてるような…
『あり?そう言えば麗華ちゃんは?最近あんまし一緒にいないよね』
奈央「あー…せやな」
『どしたの?喧嘩でもした?』
奈央「喧嘩じゃないんやけどな…最近話しかけづらいねん、麗華」
『何で?』
奈央「そんなんウチが聞きたいわ。麗華はあの通り繊細やからなぁ、と違うて」
『オイ何でわざわざあたしの名前出した?何で比較した?ムキーッ!!!』
ふと視線を感じそれを辿るとその先には麗華ちゃんがいた。ブンブンと手を振ると控えめに振り返してきた。何あの可愛い小動物。だけど何故か、悲しそう。
『いだっ!』
「次移動教室だぞ。ぼさぼさしてると遅刻するぞ、ポチ」
『それなら口で言ってっていつも言ってるじゃん!この暴力王子!』
赤司はあれ以来あたしの事を犬ではなくポチと呼ぶようになった。だけど暴力的なのは変わりない。痛くはないんだけど。
奈央「はいはい。もう気がすんだやろ?そろそろ行くで」
『気はすんでないけど遅刻したくないから行く!覚えとけよ、赤司!って、麗華ちゃんも一緒に…あれ?いない』
奈央「あー、麗華ならもう行ったで。麗華の事はあまり気にせんとき。ほら、行くで」
あたしには麗華ちゃんのあの表情が、なぜか頭から離れなかった。