第20章 猫王子とウィンターカップ
それから試合は日にちが過ぎていく度に、次々に消化されていく。黒子とムッ君の試合も、盛り上がりを十分に見せ誠凛が勝った。
そしてベスト4が揃う。
今日は洛山対秀徳、誠凛対海常の試合が行われる。
「」
『んー?どしたん赤司。もしかして緊張してる?』
「秀徳の高尾とは親友、と言ったな」
『うん』
「ポジション的に僕のマッチアップ相手はその高尾だ」
『…え?』
「ボコボコに倒すけど、いいね」
『…いいよ。和も手を抜かれるなんて事は望んでないからね』
赤司は少しだけ笑うと、席を立った。
『赤司!』
「?」
『…頑張れ』
「っ…当たり前だ、僕を誰だと思っている」
あ、あれは照れてるな。普段なら迷うことなく、和を応援していただろう。それほどまでにあたしの中で赤司が大きくなったって事なのかな…
それから程なくして、洛山対秀徳の試合が始まった。多分、赤司は本気を出していない。バスケをしてないからこそ、いつもの赤司を見ているからこそ分かったのかもしれない。
それでも、和は赤司に届かなかった。キセキの世代の緑間と一緒でも届かなかった。それくらい強いのに。
いや、圧倒的に強いからこそ、敗北を知らないからこそ、
赤司は当たり前のようにバスケをしていた。
そしてその背中は
小さく見えた。