第19章 猫王子と誕生日
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『…は?』
「…は?」
『……………はぁぁぁぁあぁ!?ちょ、はぁぁぁぁ!?人の一世一代のこ、こ、こ、告白を、"は?"で流すわけ!?』
「ちょ、ちょっと待ってくれ。僕としたことがあの一瞬の間に夢を見てしまったようだ。すまない、もう一度言ってくれ」
『はぁ!?夢じゃねーし!だから!あたしは赤司の事、す…好きなんだよ!』
「…もう一度言ってくれ」
『絶対いやだ!』
赤司はあたしから離れ、ボーっとどこか一点を見ている。え?何?何かショックなんだけど。
『え?ちょ、赤司…?』
赤司の傍によると、凄い勢いで抱きしめられた。全身が痛いって悲鳴を上げるくらいの力なんだけど、それよりも心臓の方がもう拍動できないって悲鳴を上げている。それほどまでに、あたしの心臓は鳴りっぱなしだった。
「夢じゃ、ないんだな?」
『夢じゃないよ、赤司』
「そうか…ありがとう、」
『あたしこそ、ありがとね。赤司』
「…我が儘を言ってもいいかい?」
『…いつも我が儘ばっかりじゃん。いいよ』
「と2人きりになりたい」
赤司の我が儘じゃない我が儘を受け入れると、赤司が呼んだタクシーに乗って寮へ帰った。歩いて帰ろうと言ったけど、赤司は1分1秒でもあたしと2人きりになりたいと言って聞かなかった。
あたしの部屋に寄ってシャワーを浴び、コンタクトを外し眼鏡をかける。その間、赤司は部屋で待っててくれていた。
『お待たせ』
「あぁ。…そうか、普段はコンタクトだったな」
修学旅行の一件で視力が下がったあたしは、普段はコンタクトを付けていた。赤司が眼鏡姿を見るのは初めてかって思うと、何故か恥ずかしくなった。
そしてゆっくりと手を引かれながら、赤司の部屋に向かって歩く。