第19章 猫王子と誕生日
赤司の喜ぶ顔が見たい、赤司の笑った顔が見たい、とはずっと思っていた。だけど最近、赤司の隣に居たいっていう感情が現れてきた。赤司の言葉に、赤司の行動に、赤司の視線にドキドキする。
多分きっかけは、あの修学旅行。
あの時から…赤司を選んだ時から、あたしの中で赤司は好きという存在になっていたんだ。ただ、あたしが認めたくなかっただけ。
いろいろ逃げたりもしたけど、今度こそあたしはこの気持ちにちゃんと向き合う。
とは言ったけど、やっぱ無理!!!!
意識してから隣にいるだけでドキドキするし!つーか好きって気付いたのだって今日だし!
「」
『ひゃいっ!!!』
「…くすっ、何だい?その変な声」
『…うるさい』
「クスクスっ…ふーん。ところで、は何が欲しい?」
『えー?何でもいいよ』
「…だって何でもいいって言うじゃないか」
『…気のせいだろ』
赤司はうーんと考える仕草をする。あ、やばい。かっこいい。って…バカかあたしは!!!ていうかめっちゃキモいキモいキモい!あたしキモい!!!!好きって気付いた瞬間から意識するって、あたしはどんだけバカなんだ!!!
「少し歩いてもいいかい?」
『うん、いいよ』
多分、あたしの足の事も考えて気を使ってくれたんだろう。ほら、その優しさまでにも心が反応して、キュンと締め付ける。くっそ、これが恋愛マジックか。
そして暫く歩いたあと、一件の店に赤司があたしの手を引っ張り入った。さりげなく繋いだ右手が、熱い。