第15章 猫王子と修学旅行
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「……!!!!」
声が聞こえる。この声、知ってる。神様の声でもない、正真正銘、赤司の声。
「!!!!」
『…あ…か、し…』
「!!っ!!!無事だったんだな!!!良かった…」
赤司はあたしをギュッと抱きしめてくれている。温かい。赤司ってこんなに暖かかったんだ。
『あ、ははは…そっか、戻って来たんだ…』
「戻って来た?」
『ううん、こっちの話…ありがとう、赤司』
全身が痛いしだるい。何より寒い。目を開けるのもだるければ喋るのもだるい。だけど、赤司にはお礼を言いたかった。
赤司は一番にあたしを心配してくれたんだ。
「上で川崎達が待っている。とにかく合流しよう。僕に捕まれるか」
『ご、めん…全身に力が入らないや』
「分かった。はそのまま目を閉じていろ」
赤司に抱きかかえられていると急に浮遊感が襲った。赤司は片手でロープを掴み、2人分の重さに耐えているんだ。細く見えて、筋肉質なんだな。とか、場違いな事を考える。
何かを考えていないと、眠ってしまいそうだったから。
赤司の意外に逞しい腕に守られながら、いつの間にか陸に横になっていたことに気付く。
奈央「っ!!!ヒック…~!!!」
真田「良かった…ほんま良かったで!!!」
田中「アホ!!!ホンマ、アホやで…心配かけんなアホ!!!」
『あはは…ごめん、皆』
奈央「アホ!そんな事より、言う事があるやろ!?」
あたしは声だけでも皆がどれだけ心配してくれていたか痛感した。神様は1番をって言ったけど、皆同じくらい心配してくれてたんだって思った。
『…ただいま』
「「「おかえり!!!」」」
あたしは赤司の背中に乗り、リズム良く揺れる振動の中でゆっくりと眠りについた。