第15章 猫王子と修学旅行
『ごめん、赤司…あたしの事は気にしなくていいから、皆のとこに行ってもいいからね』
「心配する必要はない。僕はの看病がしたい」
『…ありがとう』
「だから喋るな。大人しく寝ていろ」
『…気持ち悪くて寝れない…喋ってた方が気が紛れるみたい』
「そうか…」
『うん。隣にいるの、麗華ちゃん?』
「あぁ。…寝ているみたいだが」
いつの間に寝ていたんだろうか。全く気が付かなかった。
『随分好かれてるよねー。やり方はどうであれ、凄いよなぁ、本当』
「僕としてはいい迷惑だけどね」
『そういう言い方良くないよ。いいじゃん、顔も可愛いし家柄も立派だし。おしとやかだし。赤司にはお似合いだと思うよ』
「…何が言いたい」
『…赤司の事を真剣に考える度にどうしても疑問に思うんだ。どうしてあたしなんだろう、って』
「前にも言ったが…」
『赤司の事を信じてないわけじゃ無い。それでも…それでも、そう思っちゃうんだよ』
は自分に自信が無いんだろう。だがそれでこそだ。だから自分の魅力に気づいていない。自分の良さに気付いていない。
「そう思うなら無理に正そうとは思わない。だが、やはり僕がを好きな事に変わりはない。それに前にきちんと僕と向き合ってくれているようで安心したよ。後は僕がどうにかする」
『でも…』
「いいね」
『…バカ王子』
「バカはポチの方だろう」
トンと軽い衝撃が右肩に走った。と同時に良い匂いが鼻を掠めた。視線を動かして確認すると、の頭が僕の右肩に乗っていた。
『ほんと、バカだよ…人生損してる』
「やはりバカはの方だよ。こんなに僕の心を掻き乱しておいて、損しているなんて言うのかい」
ドキドキと心臓の音が聞こえる。それが隣からも聞こえたのは、気のせいだろうか。そうでなければいいな。