第6章 ひと夏の思い出
絶叫系とは違い、メリーゴーランドを待つのはやはり家族連れが多い。
その中にも数組は私たちのようなカップルもいる。
「雪乃楽しそうでよかった♪」
「え!?」
「雪乃と付き合ってからさ、色々あったけど、俺……雪乃と付き合えてよかった♪」
「私も、まさか徹と付き合うなんて夢にも思ってなかったけど、でも今は現実だし、ありがと♪」
「こちらこそ♪」
二人でいると待ち時間もあっという間だった。
「どれ乗りたい?」
「う~ん……あ、あれがいい!」
私は少し離れたところにあるロバの人形を指した。
私たちが目的のロバのところまで行くと……
「パパ! 私これがいい!!」
私たちとは逆方向から、元気よく女の子が走ってきた。
「よ~し、しっかり掴まってるんだぞ~」
私たちは顔を見合わせ近くにあった二人乗りのかぼちゃの馬車に乗った。