第10章 別れ
『散り行く花びらが 街を彩るけど
最後の時なのと 風が教えてくれた』
桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちる。
もうすぐ桜も終わりだろう。
『季節は巡るから 心配はいらないと
あの時横切った 月が照らしてくれた』
死産の前の晩、月を見上げる私の目からは涙がずっと流れていた。
あの日の出来事も、季節が巡れば人生の思い出の一部になるかな?
『いつも同じ涙ばかり 流し続ける
失くさなければ 気付かないから』
夜はずっと泣いていた。
罪悪感と後悔の念に苛まれ、眠れなかった。
『ただ一つ願いが叶うのなら 昨日の自分にさようなら
変わらない想いがあるのならば いつか…桜の下で』
変わらないといけない。
忘れてはいけない事だけど、いつまでも下を向いてちゃいけない。
『ただ一つ願いが叶うのなら 時を越えて届けたい
変わらない想いがあるのならば いつか…桜の下で』
貴方は…貴方を産んであげられなかった私を憎むかな?
けど、母親に私を選んでくれて嬉しかったよ。
『大切な祈りが届くように 今日も歌い続けていく
探してた答えは此処にあると そっと教えてくれた』
貴方の遺骨は、家に置くよ。
お線香の他に毎日美味しいご飯作って供えるよ。
毎日夜には絵本読んであげるよ。
誕生日には大きなケーキ作るよ。
これから先、子供が出来たとしても…ずっとし続けるよ。
貴方の存在を…なかった事にしたくないから…。
天国からでも見えるかな?
『悲しみをResetして』
『渚』…ありがとう。
私のところに来てくれて。
大好きだよ。
【別れ】終わり