第9章 死産
夜になり夕飯と入浴を済ませ、2人とも就寝する。
彼氏は私がソファーへ追いやり、渋々就寝。
あ、言ってなかったですけど、個室の部屋です。
他は出産で入院しているのに、私だけ死産の出産だったので病院側が気を遣って個室にしてくれたんです(因みに料金は集団部屋と一緒)。
隣で彼氏が鼾をかいて寝ている中、私はなかなか眠れずベッドから降りて窓から外を眺める。
空には雲一つなく、綺麗な月が見えた。
凪(にしても、なんでこのクソ忙しい時に産まれてくるかね…。よりにもよってこんな時に産まれんでも……)
あと少しすれば普通に予定日を迎えていたのに…。
何故この時期に産まれてきてしまったのか…。
凪(オレが忙しさで死産した事なんか忘れられるようにわざわざこの時期に産まれてきたんかな…?)
もしかしたら、あの子は私が卒進の忙しさに紛れて死産した悲しみを忘れられるようにしてくれたのかもしれない…そんな事を思った。
凪(アホやなぁ。そんな事したって…一生…忘れへんのに……)(ポロポロ
止まったと思った涙がまた溢れてきた。
例えこの先何があったって、この日の事を忘れる事なんか出来ない。
きっと死ぬまで忘れる事はない。
本当はずっと思ってた。
子供はやっぱり私のせいで死んだんじゃないかって。
私があんなに動き回ったりしてたから死産してしまったんじゃないかって。
原因はやっぱり…私なんじゃないかって…。
でも世の中には妊娠している事に気付かなくてスポーツをし続けてた人もいるし、結局死因はわからなかった。
今回は運がなかっただけで、誰が悪いってわけじゃない。
頭ではそうわかってるハズなのに、やっぱり考えてしまう。
凪(ゴメンな…産んであげれんくて…)
この日の晩は寝られず、一晩中泣いてました。
【死産】終わり