第4章 泥棒の時間
そう笑う中、カルマたちもまた笑っていた。
殺せんせーがさらに言ってきてくれたのは、それから後だった。
殺せんせーが、自身の手を見つめる姿が見えた。
殺せんせー(…
私も、変われているでしょうか?
少しでも、救えるように…)
それは、触手の手だった。
人間だった手が、今のように変化したのは半年ほど前…
だが、それに何のためらいもなく手を重ねてくる者がいた。
それはあぐりと…
ケイト「殺せんせー、ありがとう(微笑」
見ていた手に、そっと左手を重ねながら
真っ直ぐに見つめてくる、ケイトだった。
殺せんせー「…(微笑」
ふと、その頭を撫でた。
真っ直ぐに見つめてくる眼も
言葉も、態度も…
あの人(雪村あぐり)と同じだったから(微笑)
ケイト「へへへ^^//♪」
くすぐったそうに、嬉しそうに笑った。
それは…
退屈だった時に話した話題にウケた
その時に見た笑顔に、よく似ていた。
殺せんせー「^^」
気付けば、自分もまた笑っていた。
あの閉じ込められていた時
同じように笑ったことを、想い出しながら…
(殺せんせーが、ベッドに座ったまま話し
その話題にウケて、満面の笑みで笑い出すあぐり。
それに対し
殺せんせーもまた、満面の笑みを浮かべていた。
徐々に心を開いていった当時はまだ、殺せんせーは人間の姿だった…
そのケイトの満面の笑みは
真っ直ぐに見つめてくる眼は、誰よりもあぐりに似ていて…
思わず、面影も重ねていた。
茅野が、そうだったように…(第一部・344ページ参照))
そう思っている中、言葉が口をついて出てきた。
殺せんせー「自分を殺さなくていい…」
ケイト「!」
頭を撫でながら言ったその言葉に、ケイトは思わず顔をあげた。
それに対して、私は思っていた。
ケイトさん…
あなたには、昔の私のようになって欲しくない…
昔の私は、それこそ
昔のあなたのように、何をされても何も感じなくなってしまっていた…
殺され、奪われ…
大事にされないのが当たり前だったことで、何も感じなくなったあなたも
殺せば死ぬこと以外信じられずに、感情を表に出す事をなくした私も…
どちらも、同じだったから……
それが、どんなに空虚なものだったかを
よく知っているから…