イケメン王宮、真夜中のシンデレラ/ALLキャラ短編集
第9章 二人のハロウィン~ユーリ編~
―――今日は10月31日――…
公務が長引き、城下で開催されていたハロウィンイベントに間に合わなかった私は、肩を落としながら自分の部屋へと向かっていた
(せっかく仮装までしたのに…)
黒のワンピースに猫耳と尻尾をつけて黒猫の仮装をしていた私は、そのままベットへと寝転んだ
――――コン、コンッ――…
??「ユヅキ様、入っていい?」
「ユーリ…?どうぞ」
――――ガチャッ――…
ユーリ「さっきアラン様からハロウィンイベントに間に合わなかったって聞いたから、少しでも気がまぎれたらと思ってハーブティーを用意したよ」
そう言ってユーリはそっとハーブティーを差し出した
「ありがとう、ユーリ」
私がユーリの優しさに頬を綻ばせると、ユーリは少し頬を染めてニッコリと笑った
ユーリ「どういたしまして。…それよりユヅキ様、その格好は?」
「あっ…、これはハロウィンイベントに参加するつもりだったから、仮装して行ったんだけど…似合わないかな…?」
そう言って私が思わず目を伏せると、ユーリは私とおでこをこつんと合わせた
「…っ、ユーリ…?」
私が思わず顔を上げて瞬きすると、ユーリは甘い声で応えてくれた
ユーリ「ううん、ユヅキ様すごく似合ってて可愛いよ。…食べちゃいたいくらい」
そう言って意地悪な笑みを浮かべるユーリに、私は鼓動が早くなるのを隠すように話しかけた
「…私より、ユーリの方が可愛くてきっと似合うよ」
ユーリ「え…?」
不思議そうに首を傾げたユーリに、私はそっと頭につけていた猫耳を外し、ユーリの頭へと着けた
「…ほら、やっぱりユーリの方が似合うよ」
そう言って私が微笑むと、眉を寄せて少し複雑そうな顔をしたユーリがぽつりと呟いた
ユーリ「そうかな…?俺はユヅキ様の方が似合うと思うけど…」
ユーリ「あっ、俺いいこと思いついた」
「え…?」
ユーリ「ユヅキ様、トリック・オア・トリート!」
ユーリ「…お菓子くれなきゃ、悪戯しちゃうよ?」
そう言ってクスリと笑いながら、ユーリは私の頬を撫でた