イケメン王宮、真夜中のシンデレラ/ALLキャラ短編集
第7章 二人のハロウィン~ゼノ編~
―――今日は10月31日――…
ゼノ様に会いにシュタインを訪れていた私は、執務が終わるのをゼノ様の寝室で待たせてもらっていた
(ゼノ様、喜んでくれるかな…)
ユーリからの提案で、私はオオカミの耳と尻尾をつけた仮装をしていた
"ゼノ様は、賑やかなイベント事にはあまり参加なさらないけど、ユヅキ様と二人きりでならきっと喜ぶよ"
そう言ったユーリの言葉を思い出しているとゆっくりと扉が開いた
―――ガチャ―…
「…っ!!ゼノ様、お帰りなさい」
私が駆け寄ると、ふっと笑みを浮かべたゼノ様は少し驚いた顔をした
ゼノ「あぁ、ただいま。……ところで、それは…?」
そう言って私の頭の上へとゼノ様が視線を向けるのを見て、私は恥ずかしさで俯いた
「これは…その…、今日はハロウィンなので、少しでもハロウィン気分をゼノ様に味わってもらえればと思って…」
ゼノ「なるほど。……ユヅキ、トリック・オア・トリート」
「…え…?」
驚いて思わず顔をあげると、ゼノ様は不思議そうな顔をした
ゼノ「どうした、ハロウィンをするんだろう。違うのか…?」
そう言って優しく目を細めたゼノ様を見て、私の胸はトクンと音をたてた
「…はい、あの…でも私、お菓子を持っていなくて…」
ゼノ「そうか…それにしても、どうしてオオカミなんだ」
「ユーリが私に似合いそうだから…と用意してくれたんです」
そう言って私が微笑むと、ゼノ様もふっと頬を綻ばせた
ゼノ「なるほど…でも逆だな」
「…?それはどういう…」
私が首を傾げて尋ね終わる前に、ふわりとゼノ様に横抱きにされ、優しくベットに下ろされた
「ゼノ様…?」
ゼノ「…お菓子を貰えなかったら、悪戯をしていいイベントらしいな」
「えぇ、それはそうですが…」
ゼノ「オオカミが食べる前に、食べられるのも悪くないだろう」
そう言って優しく私の額、瞼、唇、首筋へと、徐々に下へと落とされるゼノ様からの甘い口づけに、これから起こることを予感して、私は頬を染めながら目を閉じていった