• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第14章 温泉旅行へ*1日目夜編*


「もう少し居座るかと思ってたのに」


慌てて出ていった政宗には、用事でもあったのだろうか。
着物を寝間着に着替えながら首を傾げる。

しかし正直、すぐ出ていってくれてほっとした。二人でどう過ごしていいのか分からなかったから。

泣いたこと、やっぱりバレてしまった。政宗はいつも、黙って見守ってくれているようなところがある。口調は軽いけれど、細やかに気を配ってくれるのだ。

布団の上で横になりながら、目元を冷やす。心地よいけれど、眠気は訪れそうにない。



「今日寝てばっかりだったもんなあ…」



むくりと起き上がって、寝間着の上に着物を羽織って部屋を出た。

手洗いを済ませ、廊下を戻る。部屋へ入ろうと襖に手をかけたとき、隣の部屋の襖が開いた。



「あ、三成君」

「桜様」



微笑む三成。秀吉の言葉がちらりと頭を掠めるけれど、振り払う。



「どこか、行くの?」

「ええ、この宿には書庫があると先程お聞きしたので。少し覗いてみようかと思っていたところです」



少し、ですむのだろうか…。


そんな桜の懸念をよそに、三成はにこにこと微笑んでいる。



「あんまり無理したら駄目だよ?」



じゃあね、と部屋に入ろうとした桜を、三成が止める。



「桜様。良ければ少しだけ、私にお時間を頂けませんか」

「うん、いいけど…」



じっと見つめられてどきりとする。頷いて見せれば、三成の微笑みが深くなった。
/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp