• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第13章 温泉旅行へ*1日目午後編*



引き止める声に気付かないふりをして、部屋を飛び出した。とにかく、少しだけ一人になりたい。

ほとんど走るように廊下を進んで、角を曲がる。何かにぶつかって、抱きとめられる感触に、人だと悟った。



「すみませんっ…あ」

「何をしている」

「の、信長様」



目が合うと、信長が、形のいい眉をひそめる。


しまった、ひどい顔を見られた。



「一人か」

「いえ…秀吉さんと一緒…でした」

「来い」



有無を言わさず、信長の腕が桜を引っ張る。一つの部屋の襖を開けて、桜をぽいと放り込む。



「きゃ…っ」

「気の済むまで、ここにいろ」

「え?あの…ここって」

「俺の部屋だ。勝手に入ってくるような奴はおらん。好きに使え。…俺は用があるから行く」



ろくに桜の言葉も聞かず、さっさと部屋を後にしてしまった。ぽかんとその場に立ち尽くす桜。

夕刻が近づき、薄暗くなってきた部屋は、桜の物よりも当然上等だった。そんなことより。


「秀吉さんに言ってきてない」


襖に手をかけようとして、止まる。

/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp