第18章 温泉旅行へ*政宗エンド*
桜が手を伸ばしてきて、政宗の頬に優しく触れた。その感触が、今は狂おしいほど愛おしい。
「大丈夫?」
「…ああ」
「政宗が、助けてくれたんだよね?ありがとう」
にこ、と政宗を安心させるように笑った桜が、身体を起こそうとした。その途端、びくりと痛みに顔を歪ませる。
「うっ…」
「どうした!?」
どこかケガでもしているのかと、慌てて尋ねる。
「お腹の辺りが痛い…」
何故痛いのか分からずに首を傾げながら、帯の下の辺りをさするように触る桜。政宗は、その頭を優しく自分の胸へと寄りかからせた。
「起きなくていい…俺に体預けてろ」
「うん…ありがとう」
「いい子だ」
ぽんぽんと頭を撫でる政宗に、嬉しく頬を赤らめる桜。腹をさする手に手を重ねてやりながら、政宗の心は怒りに燃える。
あの男は、惚れただなんだと抜かしておきながら、桜の身体に平気で力を加えた。あげく、自分の身が危うくなった途端に、桜を犠牲に逃げようとしたのだ。
恐らく、あの場にいなかった三成達が、他の場所に待ち伏せていたに違いない。仮に桜の部屋からは逃げられても、すでに捕らえられているだろう。
そもそも、最初から大人しく捕まっておけば良かったのだ。それを、桜へのこの仕打ち。皆が烈火の如く怒っていることは想像がつく。吉次がまだ生きているのかどうか、正直言って怪しい。
あの野郎、もし生きてたら、死ぬよりも酷い目に合わせてやる。