第12章 弱点
「はっ…はっ…」
木兎さんのスパイクは1本1本が重く、段々と私の体力を奪っていく。
これが全国5本の指に入るエース…。
「ッ…」
少し軸はブレたが、なんとか上がった。
“ 飛べ ”
飛雄の目がそう言っていた。
鬼か。
あんなスパイクレシーブをしたあとにすぐ動けだなんて。
「…あとで覚えてなさいよ」
ブロックの居ないところに飛ぶが、すぐに追いつかれる。
「反応早」
ストレートでいくかと見せかけて…。
「フェイントだとぉ…!」
直前で打ち方を変え、軌道を逸らした。
放物線を描くようにボールがコートに落ちる。
「無茶振り、なんだけど…」
「てめぇが体力なさ過ぎなんだよ」
「君らと一緒にしないで」
これでも鍛えてる方だし。
月島くんだって息を切らしてる。
異常なのはこの2人でしょ。
「おい、波瑠」
相手には見えないように背中にサインを出した。
「了解」