第11章 優しさ
「あっ、波瑠ちゃん波瑠ちゃん」
「はい?」
梟谷のマネージャーさんに呼ばれた。
「烏野の眼鏡の子、名前なんて言うの?」
「月島くん…ですか?」
「へーぇ、月島って言うんだ。
これ聞いといてくれない?」
「え?」
何かメモのようなものを渡された。
「じゃあお願いね!」
「いや、あの…行っちゃった…」
聞いてって言われても…。
ペラッと中に目を通す。
「これ自分で聞けば良いのに…」
面倒くさい。
「あ、ドリンク用意しなきゃ」
近くに自販機を見つけ、そこで人数分のスポーツドリンクを買う。
すっかりマネージャー業が板について来たな。
「お疲れ」
買ったばかりで冷えているそれを手渡す。
「腕、大丈夫なの?
あんなスパイクを何度も諸(モロ)に受けて」
「大丈夫」
全然大丈夫じゃないけど。
「月島くん、誕生日いつ?」
「は?」
「あと血液型、好きな食べもの、好きなタイプ…」
「なんで?」