第10章 疲労
フラフラと飛んで行ったボールは月島くんを捉えると、右に逸れた。
「っ…」
なんとか入った。
まだなんか弱いか…改善の余地あり、と。
覚えたての技はやはりすぐには上手く使いこなせない。
次、ジャンプサーブを繰り出すと木兎さんになんとか上げられた。
「赤葦カバー!」
「はい、木兎さんっ」
スパイクが来る。
「ッッ…」
両脚と手に力を込め、なんとか上に上げる。
「飛雄カバー!」
「あぁ」
レシーブは上げられたけど、そこ勢いに負けて2、3歩後退する。
「持って来ぉぉーいっ!」
日向が飛び、飛雄がトスを上げ、スパイクが綺麗に決まる。
「痛い…」
誰にも聞こえないよう、ボソリと呟く。
木兎さんのスパイクは尋常じゃない。
結局、1セットも取れずストレートで負けた。
腕はヒリヒリするけど上着で隠せてるだろう。