第10章 疲労
「分かった、やるよ」
ポン、と日向の頭に手を置く。
「おっしゃあ、勝つ‼︎」
「おい日向。
あいつの脚だけは引っ張るんじゃねぇぞ」
「?なんで?」
「…酷い目見るから」
「お、おう」
「おや、やってくれんの?」
「やるからには勝ちますから」
目に熱がこもる。
「そういえばマネージャーさん、名前は?
ポジションは?」
「木兎さん、なんかナンパみたいですよ」
赤葦さんがツッコミをいれる。
「何⁉︎」
「まぁ、あのサーブ見るからに素人じゃないしな」
黒尾さんは鋭いのか、挑発したいのか。
はたまた両方か。
「柏木波瑠、元々はウィングスパイカーですけど」
「そりゃそうだろうね。
けど男相手に通用するかなぁ?」
挑発か。
「それなりには通用しますよ。
少なくともそこら辺の人よりは。
…よく男バレに混ざって練習させられましたから」
髪をまとめ、口端を上げる。