第2章 顔面レシーブ
放課後、人気のない校舎裏で持参したバレーボールを打っていた。
ただひたすらにレシーブを繰り返す。
「ぅわー!バレーボール‼︎
君バレーやんの⁉︎
俺にも投げて?
俺もバレー部なんだ!」
ちょうど通りがかった小柄な男の子。
部活に向かう途中らしい。
リベロかな。
少なくともスパイカーやブロッカーじゃないな。
「いいよ、取れるなら」
高くボールを上げ、地面を蹴り高く跳ね、そしてそのまま勢いを殺すことなく手を振り下ろす。
バンッ、と乾いた音が聞こえた。
「ごふっ…」
「あ…」
やば。
取りにくいところに打った筈なのに、そのボールの速さに着いて来た。
まぁ、顔で受けてるけど…。
リベロじゃないんだ。
「ごめん、大丈夫?」
「おうっ。
顔面で受けんのもう慣れた」
慣れちゃいけないと思うんだけど。
「それより凄ぇーな‼︎
全然取れなかった」
「そっちこそ凄いよ。
まさか反応出来るとは思わなかった」